コラム

「PharMartメール(MRディテール)」は、MRの介在価値を生かしたメールマーケティングを実現する

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日鉄日立システムエンジニアリング株式会社の医薬ソリューショングループは、医薬業界特化型ソリューションを目指しています。その一つとして、製薬企業様の営業活動を支援するシステムとして「PharMart(ファルマート)」を提供。これまで、くすり相談室の業務をサポートする「コールセンター」、ドクター個人にフォーカスできる「SFA」など、業界に特化した機能をリリースしてきました。そして今回、Withコロナ時代に欠かせないオンラインのMR活動のツールとして、「メール(MRディテール)」を機能追加。開発でのこだわりや今後の展望も含め、開発者が語ります。 

 

【プロフィール】

産業流通ソリューション事業部 医薬ソリューショングループ

グループリーダー 安東 禎志

 

産業流通ソリューション事業部 医薬ソリューショングループ

シニアマネジャー 樋口 亮

 

産業流通ソリューション事業部 医薬ソリューショングループ

チーフ 安田 桜

 

■訪問規制にコロナ禍が重なり、MRは「メール」が重要なチャネルに 

 

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――「PharMartメール」とは、どのような機能なのでしょうか? 

 

安東 MR(医療情報担当者)のメールによる情報提供活動を、ITでトータルサポートする機能です。2021年11月に企画が立ち上がり、PoCを経て、2022年9月より、ご協力いただいている製薬企業様のもとで実用がスタートしています。メールに着目した理由は、MRからのドクターへの情報提供手段が、訪問規制の強化やコロナ禍により対面からメールへシフトしたことで、製薬企業様が新たな課題に直面し始めていると感じたからです。

 

――開発に至った背景として、現場にどのような課題があったのでしょうか? 

 

安東 ドクターは忙しいので、一斉送信のようなメルマガを送っても、まず読んでもらえません。そのため、MRは担当しているドクター一人ひとりに照準を合わせてメールを送っています。しかしそのぶん、MR一人あたりの負担は非常に大きくなっているのが現状です。また、担当しているドクターも複数人いるので、順々にメールを送るとなるとスピーディーな情報提供にも限界があります。製薬業界は競争が激しく、スピードも重視されるので、それが大きなチャンスロスになる恐れがあり、この業界の課題をなんとか解消できないかと考えました。 

 

――MRの生産性向上以外にも課題はありましたか? 

 

安東 施策を企画する部門も課題を抱えていました。MR個人からの情報提供がベースになるため、施策の進捗や反響については、担当のMRへのヒアリングが必要でした。このほか、2019年より厚生労働省の「医療用医薬品の販売情報活動に関するガイドライン」が施行され、製薬企業様は、MRが提供する情報の監査を義務付けられていました。MR本人への確認を通じて、メール本文はもちろん、添付資料のチェックも必要になります。これにより、工数が増えて負荷も大きくなったことから、企画部門の業務効率化も目指して「PharMartメール」の開発に至りました。 

■MR業務に特化した機能を搭載し、PDCAサイクルの加速にも寄与 

 

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――「PharMartメール」の代表的な機能を教えてください。 

 

樋口 一つは「メールの送受信の一括管理」です。MRが送受信したメール履歴は、上長や監査部門がすべてモニタリングできるようになっています。これによって、誤った情報や表現がメールに記載されていないか、いつでもチェックすることが可能になりました。添付するファイルも承認済のファイルしか添付できないようになっており、機密ファイルの誤送信を防げます。

 

安東 メールアドレス管理も厳格です。送り先を間違えないように、システムに登録されたメールアドレスにしか送信できません。また、その登録もドクターの許諾がないとできない仕様になっています。 

 

安田 リスク回避の機能だけでなく、製薬企業向けに特化した機能で、現場の使い勝手の良さも追求しました。たとえば、製品別にターゲットとなるドクターを設定する機能がその一例です。製品で絞り込むと、その関心を示したドクターを抽出できるため、必要な情報を一斉送信できます。製品の採用可否に大きな影響をドクター個人が持つ医薬業界ならではの機能といえます 

 

安東 メールの送信予約設定も、MR業務に役立つ機能です。忙しいドクターは、日々たくさんのメールを業務の合間に処理しています。そのメーラーを開いたときに、タイミングよくメールを送れたほうが、メール一覧の上位になり、開封率やレスポンス率が高くなる可能性があります。そのため、MRによってはドクターごとにメールを確認してもらいやすい時間を把握し、そこに目掛けてメールを送っているケースも少なくありません。「PharMartメール」は、ドクターのメールアドレスごとに開封してもらいやすい時間に送信されるように予約設定ができます。これにより、ドクターに適切なタイミングで適切な情報提供ができるようになります。 

 

――マーケティング施策の面からも、役立つ機能があれば教えてください。 

 

樋口 送信メールの開封やコンテンツ閲覧の把握が可能となっています。ドクターがいつメールを開封したか、コンテンツのURLのリンク先にアクセスしたのかなど、閲覧状況がわかります。これによって、適切な配信時間帯や、関心のあるコンテンツがわかり、ドクターごとのパーソナライズが図れるようになりました。 

 

安田 展開したい新たなプロモーション施策について、企画部門がメールテンプレートを作成し、MRに一斉共有する機能もあります。MRは担当するドクターに合わせて、テンプレートの文面を適宜調整して送信するだけで、スピーディに施策を展開できます。 

 

――一般的なMAツールだと、企画部門から直接メルマガを配信しますが、送信はMRが担うんですね。 

 

安田 実は、あえてそのような仕様にしています。お客様からのヒアリングの中で、ドクターとMRが築き上げた"信頼関係や、担当MRでしか知り得ない顧客情報を、デジタルマーケティングでも活用することが、その製薬企業様の強みになると考えました。 

 

樋口 送信はMRに任せますが、本部はメールの送受信履歴から、プロモーション施策の展開について進捗がわかります。さらに、開封率やコンテンツの閲覧状況もモニタリングできるので、打った施策の有効性を随時検証できます。一般的なマーケティング施策は、トップダウンの一方通行になりがちです。しかし、「PharMartメール」を活用すれば、多角的観点から正確なPDCAを回せるように。そしてこれにより、確度の高いプロモーション施策の実現を目指せると考えました。 

 

■念入りなテストと調整で、古いタイプのメーラーやキャリアメールにも対応

 

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――開発にあたって、苦労した点なども教えてください。 

 

安田 細かいことなのですが、ドクターに届いたメールが、こちらの意図したレイアウトできちんと見えるのか、という点にも配慮しました。というのも、ドクターは高齢の方も多く、昔から愛用している古いタイプのメーラーを使っているケースもあったからです。 

 

安東 意外とキャリアメールを使っているドクターも多かったですね。 

 

安田 それぞれに特徴があるので、一つひとつテストし、最適化できるようにシステムを組みました。かなり骨の折れる作業でしたが、おかげで現場で使われている主なメーラーにほぼ対応できるようになったと自負しています。 

 

安東 このほか、メール関連のシステムはデータが膨大に蓄積されるため、いかにパフォーマンスを落とさずに稼働できるかが課題でした。その解決のため、当社のこれまでの技術やノウハウを総動員させています。 

 

■他のシステムや機能と連携を強化し、マーケティング全体の最適化を 

 

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――最後に「PharMartメール」の今後の展望について教えてください。 

 

樋口 メールは、ドクターにアプローチするためのチャネルの一つに過ぎません。今後は、Web講演会の参加者フォロー、オウンドメディアからの流入、オンラインや従来の訪問によるMR活動などさまざまな情報を組み合わせて、一つのマーケティングをつくっていくことに貢献したいと考えています。そのため、「PharMartメール」は、他のCRMなどのシステムや、「PharMart」の機能との連携を前提とした設計になっています。これらにより、お客様のマーケティングの最適化を目指していきたいと思います。 

ゆくゆくは、製薬企業様の抱える課題に対して、既存のシステムや「PharMart」シリーズをどのように連携すれば解決できるのか、そのソリューションを提案するコンサルティング領域にも力を入れていきたいと考えています。さまざまなお客様の声を聞き、そこで得たノウハウを再びお客様に還元することで、業界全体のDXの一翼を担うパートナーになりたいですね。その実現に向け、さらなる挑戦を重ねたいと思っています。

 

※本記事は2023/01時点の情報です。 

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